ヘリコプターの実稼働モード解析

写真提供:DCTA, IAE, ブラジル空軍
14 Dec 2011

ブラジルの国立航空宇宙研究センターが振動モード特性を同定するために採用したのは、系の出力データのみを用いる方法でした。


Aerospace | Technology

課題

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動的試験グループのリーダー Edilson Camargo博士(右)と、動的試験が専門の技師 Domingos Strafacci氏(左)。PULSEシステムのケーブル接続が完了し、飛行試験の準備が完了

ブラジル空軍は、国防省航空宇宙科学技術局(DCTA)の航空宇宙研究所(IAE)に、中量級の多目的ヘリコプターの構造を修正した場合に生じる影響を試験し、検証するよう要請しました。

付加マウントがヘリコプターの既知の振動モードにどのように干渉するかを検証し、理解するために試験は行われました。あらゆる修正と同様に、今回取り付けた部品もヘリコプターの構造的・空気力学的な挙動に影響を与える可能性があります。

実稼働モード解析(OMA)は出力データしか得られない場合のモード同定に効果的なツールです。今回は修正前後のヘリコプターの状態で地上および飛行中に試験が行われました。これらの試験により、ヘリコプターの構造的・空気力学的な挙動に大きく影響する危険なモードを特定でき、メンテナンスや安全性向上に役立てられます。

修正前後のヘリコプターの分析結果を比較する目的は、修正により固有周波数が移動していないかどうか、また振動レベルが増加していないかどうかを確認することでした。


「これらの試験により、ヘリコプターの構造的・空気力学的な挙動に大きく影響する危険なモードを特定することができ、メンテナンスや安全性向上に役立ちます。」

尾部と付加マウントを地上および空中で実稼働モード解析する試験が行われました。飛行試験では、積載物を運搬・使用している状態の修正済ヘリコプターの飛行エンベロープ(安定して飛行可能な範囲)も検証されました。修正の効果を直接的に理解するため、すべての試験は修正前と修正後の両方の構成で実施されました。すべての試験で実稼働モード解析のみを使用することにより、全試験工程を大幅に単純化することができ、結果として高価な試験時間を短縮することができました。

付加マウントは、マシンガンや発射筒、カメラポッドなど様々な武器や観測機器を運搬できるよう、幅広い積載荷重に対応した設計がなされました。付加部分と様々な積載物は、ヘリコプターの構造特性だけでなく、尾部や水平尾翼に沿った気流の両方に影響を与えます。そのため、それぞれの構成について一通り試験し、尾部のモードと積載物のモードの間の相互作用を調べることが必要です。

地上試験

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加振器試験は地上試験の一部として、危険なモードを特定するために実施されました

地上では、尾部と付加マウントのモード解析が行われました。この試験は、追加するマウントがヘリコプターの既知の振動モードにどのように干渉するかを検証し、理解することを目的としています。

加振は加振器とハンマーの両方で行うことに決まり、尾部は加振器試験、マウントはハンマー試験となりました。これは OMA の通常の加振方法ではありませんが、従来の古典的なモード解析と試験結果を比べると、注目する危険なモードの結果が一致しており、OMAの有効性が検証されました。
     

飛行試験

飛行試験プログラムの目的は、構造解析を行うことと、マウントの構成や使用方法の変化が飛行エンベロープに与える影響を確認することでした。標準的な構成のヘリコプターの構造モードと、構成を修正したヘリコプターの構造モードとを比較しました。


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ヘリコプターの尾部に30個ほどの加速度ピックアップが取り付けられました

試験結果を様々な条件で比較できるようにするため、運転する高度(2700-8000フィート)、速度(最高速まで)、そして様々なピッチ角、ロール角、ヨー角をカバーした飛行試験計画が練られました。これにより、飛行エンベロープに各種の武器や観測機器などの積載物が与える影響を検証できました。

下記のような様々な構成で経路の全体を飛行することにより、飛行エンベロープを効果的に検証できました。

  • カラのマウント
  • 片側か両側にマシンガンを取り付けたマウント
  • 片側か両側に発射筒を取り付けたマウント
  • カメラポッドを取り付けたマウント

ロケットの発射やマシンガンの使用(片側および両側)の影響も試験し、考慮に入れました。

結論

修正前後のヘリコプターの分析結果を比較することにより、修正による固有周波数の移動や、積載物による振動レベルの上昇を確認できました。試験の結果、ブラジル空軍はヘリコプターの飛行手順や運行経路を更新できました。

ブリュエル・ケアーのPULSEとPULSE OMA によって、任務を遂行するために最良で、かつ乗務員の安全性を損なうことがないヘリコプターの構成について、貴重な知見を得ることができました。

地上試験と飛行試験で使用された機材

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地上試験・飛行試験のどちらでも、51チャンネルの PULSE データ収集システムが操縦室に設置されました。

実稼働モード解析には、PULSE  LabShop、7753型 PULSE Modal Test Consultant、そして 7760型 PULSE Operation Modal Analysis ソフトウェアが統合されたパッケージが使用されました。これらのソフトウェアにより、測定対象物に外部から力を加えて加振することが不可能、または難しい状況において、実稼働条件で正確なモード同定が可能です。

7753 型 PULSE Modal Test Consultant は形状データを活用したデータ収集が可能であり、収集したデータは解析や検証のためにシームレスに実稼働モード解析ソフトウェアに転送できます。これらのソフトウェアは統合されており、使い勝手の良いモード試験・モード解析システムとなっています。

ヘリコプターの尾部と水平尾翼には、ブリュエル・ケアーのモード試験用加速度ピックアップ 4515 型と 4520 型が取り付けられました。そして、ヘリコプターの操縦室内に設置された 3560-C 型 17チャンネルフロントエンド3台からなる 51チャンネルの PULSE データ収集システムにケーブルが接続されました。

地上試験では、LDS の永久磁石式加振器(V455)がパワーアンプ(PA 1000)とともに用いられました。インパクト試験は、ブリュエル・ケアーの 8207 型インパクトハンマーで行われました。

DCTA について

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国防省航空宇宙科学技術局(DCTA)はブラジルの国立航空宇宙研究センターであり、ブラジル空軍と国防省の下部機関です。

1953年に設立された DCTA は、航空宇宙産業に関係があるか、国防省が関心を持つすべての技術的・科学的な活動のコーディネートをしています。現在、DCTA には文民と軍人、合わせて数千人が勤務しています。


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航空宇宙研究所(Instituto de Aeronaútica e Espaço, IAE)はDCTAの一部門であり、航空、宇宙、防衛の各部門でプロジェクト開発を行っています。IAEは、ブラジルの航空宇宙ミッションの遂行に共同で責任を持っています。


     

参考文献

測定内容やOMAの結果、また結論などについて、より詳しくは IMAC 2011 で E. Camargo, D. Strafacci (CTA), N. J. Jacobsen (Brüel & Kjær) により発表された、 “Operational Modal Analysis on a Modified Helicopter” をご参照ください。

この記事はケーススタディ “IAE Division of DCTA – Operational Modal Analysis on a Helicopter.” からの抜粋です。ケーススタディの原文は、ページ右側のリンクからご覧ください。



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