リノ・タホ国際空港周辺住民に歓迎された騒音モニタリングシステム

By Ronnie Garret
21 Oct 2010

誰でもアクセスできる騒音モニタリングシステムによって、地元住民が騒音の原因を調査・解明して特定のフライトとの関係を把握できるようになり、その結果、苦情の発生を防ぐことができます。


Noise Management | News


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10年前にリノ・タホ空港公団(Reno-Tahoe Airport Authority; RTAA)の管理を任されてからというもの、Krys Bart氏にとって騒音の監視と低減は最重要課題となっていました。RTAAの社長兼最高経営責任者としてBart氏は、年間4400万の国内、国際線利用者を抱えるリノ・タホ空港には、「良い隣人」となって欲しいと願っていました。空港はネバダ州リノの中心に位置し、この希望を現実のものとするのは簡単ではありません。

200万ドルを投じて2008年に稼動した空港騒音管制モニタリングシステム(Airport Noise and Operations Monitoring System; ANOMS)はBart氏のゴールへ大きな一歩を踏み出しました。連邦航空局(FAA)の 'Part 150' プログラムに他の空港とともに参加することを積極的に進めることで、RTAAは連邦政府から騒音関連の問題に特化した資金援助を受け、そのシステムの全費用を捻出しました。


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現在の稼動下では、ブリュエル・ケアーの環境モニタリングシステム(Environmental Monitoring System; EMS)は運行情報を提供し、空港側が、騒音が発生した出来事をモニタし、騒音レベルを抑えて運行できるように調整するための手助けとなっています。

導入計画を行ったHarris Miller Miller & Hansonの上級副社長Ted Baldwin氏は、ANOMSが提供する運行情報は「非常に正確」で「とても興味深い」ものだと考えています。Baldwin氏は説明します。「騒音問題を改善するためには、異なる滑走路を使用する、飛行航路を変更する、あるいはより速く飛行機を上昇させる、などの対策が考えられます。これらのうちどれを採用するかを決める際に、運行情報のデータが役立ちます。」

アメリカ国内のおよそ30の民間飛行場がブリュエル・ケアーのANOMSを使用しています。

データ収集

ブリュエル・ケアーは、騒音監視装置をリノ・タホ空港の南北に12基、東西に2基設置し、谷全体をカバーできるようにしました。監視装置は、運行情報と騒音に関連する出来事を特別な操作なしで常に記録します。


「騒音の情報を共有する手段を提供することができます。」

「このシステムにより、空港公団は空港の操業や飛行機の移動によって発生する騒音に関するより多くの情報を収集することができるだけでなく、周辺地域と騒音の情報を共有する手段を提供することができます。」とRTAAの技術企画環境管理副社長のDean Schultz氏は述べています。監視装置で収集されたデータはメインデータベースに記録され、オンラインで閲覧できるようになっています。

「システムは2つの重複し補完しあう情報源からデータを得ています。」Baldwin氏は説明します。「1つ目は '受動型飛行航路モニタリングシステム' で、FAAや航空機の装置へ積極的に問い合わせたり連絡したりせず、広くアクセス可能な呼びかけ信号や、地上航路や高度を含む航空機の運行航路を追跡するために必要な航空機の応答を受け取ることのみに特化したシステムです。」


ブリュエル・ケアーの受動型システムは、RTAAなどの認可団体にモニタリングシステムを提供するメーカーが使用できる、FAAが提供するデータフィードからレーダーによるフライト追跡情報を使用しています。このデータフィードはFAAに提出された計器飛行計画に基づいて情報を提供します。ANOMSは有視界飛行方式で飛行している一般的な小型で低騒音の飛行機についても追跡しています。両方の飛行方式の飛行機を追跡することで、システムは飛行機が原因のものとそれ以外の騒音を区別して、飛行航路と監視装置が取り込んだ騒音事象とを関連付けることができるようになります。ANOMSはフライトと騒音の情報に加えて、風速、風向き、気温、湿度も収集します。さらに、それぞれの騒音事象の音も記録されるため、実際にどのくらいその騒音が大きかったのかを後から確認することもできます。

2つ目のデータソースでは、FAAのターミナルレーダー情報処理システム(Automated Radar Terminal System; ARTS)と空港のANOMSを直接接続するため、FAAの公式承認が必要となります。ブリュエル・ケアー独自のセキュアレーダーゲイトウェイ(SRG)はARTSのデータを新しいモニタリングシステムに渡し、たくさんのデータフィードを受動型システムに供給して強化します。Baldwin氏は次のように述べています。「この仕組みには、2つの明らかな強みがあります。2つ目のデータソースは受動型システムが利用できなくなった場合にバックアップのデータソースとして使用できることと、受動型システムの出力の精度や完全性に関してどのような疑問があった場合でも、FAAが"見ている"ものとまったく同じデータを提供できることです。」


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リノ・タホ国際空港

安全上、RTAAはWebTrakソフトウェアにフライトデータを配信するのを15分遅らせ、特定の飛行モードの軍用機の情報公開は控えています。ブリュエル・ケアーの技術により、データを公開する前にFAAの要求を満たしていることを確実にするためにシステムが収集したデータをフィルタリングすることもできます。さらに空港との契約には、システムに高度なセキュリティを構築することと、ウェブサイトに公開する前に "精巧なファイアーウォール" を通してサーバーへ転送することが要求されました。

しかし、これらの要求のうちのどれひとつとして、プロジェクトの重大な障害とはなりませんでした。「運のいいことに、FAAはすでに他の空港とこれらの合意を結んでいたのです。」Schults氏は言います。

ブリュエル・ケアーがすでにANOMSの導入を何度も経験していたことも助けとなりました。デンマークを拠点とするブリュエル・ケアーはアメリカ、カナダで44の騒音管制モニタリングシステムを運用し、さらに世界的には230ものフライト追跡システムを納入しています。シカゴのオハラ国際空港、マイアミ国際空港、ロサンジェルス国際空港などがその代表例です。

平等に分配

Bart氏はANOMSが提供する公共のインタフェースを重視して、次のように述べています。「このシステムによって周辺住民は飛行機がリノ・タホ地域を行き来する際にその高度や航路を見ることができます。このことが、透明性を確保し、説明責任を果たすことを可能にしており、すべての人にとって有益です。」

空港のウェブサイトでは誰でも 'Airport Noise' のリンクからANOMSのデータにアクセスすることができます。そこではほぼリアルタイムの飛行追跡と騒音監視データ、60日以上前の飛行追跡データ、RTAAのスタッフが作成している四半期や年間の騒音レポート、騒音低減プログラムに関する一般情報、空港騒音諮問機関の情報やPart 150の騒音研究詳細など、さまざまな情報を得ることができます。


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オンラインのシステムには、ブリュエル・ケアーのWebTrakソフトウェアが使われています。このソフトウェアはそれぞれの飛行機を運行している航空会社、高度、騒音レベルに加え、出発地と到着地も表示しています。総合騒音苦情申し立て機能を用いれば、周辺居住者は特定のフライトを確認し、オンラインで苦情やコメントをRTAAのスタッフに送信することができます。

「他の空港での経験によると、一般の人々は、空港職員の調査と報告に頼ることなく、好きなときに『誰が、いつ、どこで、何を、どうして』騒音を発生させたのかを独自に調査することができるこのウェブサイトを熱心に利用し、非常に高く評価しています。」とBaldwin氏は述べています。

「一般には、何がどうして起こったのかを確認することができると、苦情の申し立て件数は減少する傾向にあり、空港と地元住民はよりよい関係を築くことができます。」とブリュエル・ケアーEMS アメリカの上級副社長、Robert Brodeckyは言います。


「当初から私たちは近隣住民と非常に協力的な関係を築いてきました。騒音問題に関しても、オープンでコミュニケーションも良好です。とても良い状況になっています。」

「ANOMSは近隣住民が騒音を聞いたときの情報をまったく記憶していない場合でもフライト情報を見つけ出すことができます。」Schults氏は続けます。「従来、住民が真夜中に何かを聞いても、起き上がって原因を調べることはしませんでした。その場合、不快に感じたフライトを突き止めることは非常に困難で、時間を要するものです。それが現在では発生から60日後までウェブサイトで問題を調査することができます。」

もしウェブサイトで疑問を解決することができなければ、住民は苦情を申し立てることができます。そのような場合、RTAA職員はANOMSの他の機能を使って、さらに詳細な情報を掘り起こすことができます。


「長年の間、騒音に対する苦情を受け付けるために周辺住民のためのホットラインを開設していました。」RTAAの広報マネージャHeidi Jared氏は指摘します。しかし、時に不十分な情報を元にして問題を解消することは困難で、長い時間を要します。「ある住民が、夜中の1時ごろだったと言えば、それを元に多大な調査をしなければなりません。その騒音が飛行機によるものならば、どのようなタイプの飛行機だったのか、その飛行機の所有者は誰なのか、どこを飛んでいたのか、そしてその住民が聞いた騒音はどのようなものだったのか・・・すべて突き止めなければなりません。」とJared氏は言います。


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新しいシステムは、住民が苦情を登録した際の日時、飛行機、高度、運航会社、天候やその他詳細を自動的に識別することで、このような課題を解消します。「この機能により私たちスタッフの対応は改善されました。」Jared氏は言います。「私たちは、住民の関心事に対して、より多くの情報を提供し、適切に対応することができます。これにより、飛行機所有者側が果たす説明責任のレベルが向上します。」

「騒音管制モニタリングシステムを有する空港では、騒音に対する苦情が減少する傾向にあります。」とBrodeckyは言います。「空港は周辺地域に対して何も隠してはいませんし、運行情報を公開することで社会認識を改善しています。情報を公開し、世間が何がどうして起こっているのかを理解できたとき、苦情の件数は減少します。それにより対立の心理状態を脱し、すべての関係者が共通のゴールを目指して共に努力することが可能になります。」

「このシステムは空港が航空会社に騒音関連の状況を説明する際にも役立ちます。」とSchultz氏は強調します。「私たちは罰金を科すつもりはありませんが、現在では飛行機の所有者に要求をするための材料は持っています。そして、協力して努力していく必要があるのです。」

またとない喜び

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ブリュエル・ケアーのANOMSは2009年初めにデータ収集、2010年3月にデータの一般公開を開始し、あっという間に価値ある資産となりました。Schultz氏によれば、ANOMSはすでに良好であったRTAAと近隣住民との関係をさらに良いものとしました。住民が空港騒音に不満を感じても、空港側がその苦情を真摯に受け止め、とり得る必要な変更を検討するのに十分なデータを持っていることを、このシステムが住民に対して明示してくれています。

「周辺地域はANOMSの導入をすでに非常に好意的に迎えています。」Jared氏は報告しています。「監視装置が設置された近隣の住人の中には、私たちがこの装置を設置していることに驚いている方もいらっしゃいます。その方々はもともとその地域で騒音がそんなに大きな問題だとは感じていらっしゃらなかったとのことでした。」と、彼女は続けます。「当初から私たちは近隣住民と非常に協力的な関係を築いていました。騒音問題に関しても、オープンでコミュニケーションも良好です。これはまたとない喜びです。」

良き隣人として

ANOMSを導入することで、リノ・タホ国際空港でのほかのPart 150騒音関連プロジェクトを補足することができました。「RTAAは以前、空港で発生する騒音の影響を低減して3500の近隣住居を保護するためにFAAの資金援助を受けていました。」とJared氏は言います。

チームは、窓やドアの位置を変更し、換気口やレンジフード、煙突などの開口部は音響材料で処理しました。「対策を行った全戸で最低でも5dB低減することに成功しました。この変化は知覚される騒音を50%減らしたことに相当します。」とSchultz氏は報告します。

この遮音、防音対策は、空港の騒音問題全体に対する努力のほんの一面に過ぎないといいます。このような対策作業と、騒音分析官であるRick Miller氏が行っている進行中のANOMSの導入、および継続的な教育や福祉プログラムを組み合わせるなど、Bart氏の掲げる「良い隣人」になるという目標は、引き続き最も重要な課題として取り組まれています。

プロジェクト詳細

プロジェクト:騒音管制モニタリング
場所:リノ・タホ国際空港(アメリカ・ネバダ)
アプリケーション:空港騒音管制モニタリングシステム ANOMS
費用:200万ドル
システムプロバイダ:ブリュエル・ケアー EMS
騒音適合性調査:Coffman and Associates
導入計画:Harris Miller Miller & Hanson


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