スペクトリス社長 John O'Higgins氏インタビュー
By Shivani Mody for Search Magazine
01 Sep 2010
ブリュエル・ケアーの親会社であるスペクトリス社CEOのJohn O'Higgins氏を、インド市場の話題を中心にShivani Mody氏がインタビューしました。サーチマガジンの好意により転載の許可を得ましたので、その抜粋をお読み下さい。
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環境問題に対する企業の関心の高まり
現在ではあらゆる企業が環境問題を深刻にとらえており、製品やその生産過程を改善しようとしています。メジャーな業界の大企業が二酸化炭素排出量の削減や環境に優しい製品作りに重点を置いているのはもちろんのこと、ニッチな業界においてすら各企業が熱心に環境問題に取り組んでいるわけです。彼らは騒音を公害の一要素と考えていますから、音響や振動に関する問題の解決にも力が注がれています。
騒音は社会に深刻な影響を与えますから、職場や住宅地においてそれが人々にどれほどの害をおよぼしているかをしっかりとモニターしなければなりません。環境問題への関心の高まりにともない、音を正しく計測・分析して騒音公害問題に取り組む必要に企業は迫られています。騒音を無くせと声高に叫ばれる世の中ですから、企業も今までのやり方は変えていかなければなりません。それぞれがきちんと環境戦略を設定し、最新の計測器を使いこなして騒音問題に取り組んでいくことで、この変化に対応していくことになるでしょう。
実際、自動車や航空宇宙といった大規模な業界はこの騒音公害の影響力に気付いていて、注意深く対応をしていますね。その結果として彼らの製品設計の仕方や材料の選び方に様々な変化が見られるようになりました。
技術の進化の方向は環境問題の取り組みへと大きく舵を切っています。産業界のリーダーたちがこの変化を受け入れることで、地球の生態系へ良い影響を及ぼし公害の少ない緑豊かな環境を実現することが出来るはずです。それはつまり私たち社会全体の利益になるのです。
騒音の減少を目指す次世代の製品設計
騒音は職場や家庭における公害ですから、その発生をコントロールできるようにするか、あるいは快適な水準までその音量を落とすかしないといけません。製造メーカーではこれを実現するために、出来上がった製品に手を加えるかわりに、初期設計の段階から騒音を考慮したものづくりをするようになってきています。自動車を例に取りましょう。数あるパーツの中でエンジンが最も大きな騒音を出しているのは明らかです。それなら、完成した自動車にあれこれ防音を施すよりも、うるさくないエンジンを初めから設計したほうがいいだろうというわけです。
最近では車が出す騒音全体を減らすような革新的エンジンを設計すべく自動車メーカーが試行錯誤を重ねています。さらに次世代のボディの研究開発にも注力しているようですね。全ての騒音を抑え込むようなボディを設計しようとしているのです。
このような取り組みに加えて、新製品の開発においては設計を複雑にせずシンプルにする試みがなされていて、これも騒音の発生源を減らすことに貢献しています。自動車に限ったことではありません。電車・飛行機・オートバイなどの乗り物はもちろん、建築やインフラといった設備全般の開発においても同様の試みがなされています。
このような製品開発のやり方を実際に採用しその恩恵を受けている国の例としては日本があります。日本では騒音や振動の基準レベルが厳しく規制されていますから、住宅密集地を通過していく新幹線の開発においてはそれが大きな懸念事項なわけです。
次世代の低騒音高速列車の開発がこれまで行われてきていますが、空気力学上の難しい課題が立ちはだかっています。開発者たちは、騒音源を特定するために音響振動の計測分析システムを研究施設の風洞の中で使い、収集分析したデータを騒音を減らすための設計開発に役立ててきました。具体的な例としては、現在の新幹線の長い鼻のような円錐状の先端部分や、架線から空気の流れを取りこみ高速走行時の空気抵抗を減らす羽の形をした革新的パンタグラフなどが挙げられるでしょう。新幹線が高速で走る時、これらのデザインが騒音を防いでいるのです。
計装制御(IC)装置の発展を促すトレンド
自動車や航空宇宙は世界的に最も速く成長している産業の一つであり、それはインドのような発展途上国においても例外ではありません。急速に増える需要に対応するため、企業は生産のスピードをあげ瞬時に市場に製品を提供することを求められています。このトレンドの結果として、生産工程において製品を正確に計測分析することのできる機器のニーズが大いに高まっています。よりすばやく計測し、しかも簡単に使いこなせるツールが必要というわけです。
インドのあるアジア太平洋地域に限らず世界的に車・鉄道・飛行機の輸送量が増加の一途を辿っています。海運も増えていますね。このような昨今ですから、製品だけでなくその流通の全過程においてもきちんと計測や分析を行う必要があります。例えば飛行機でいうと、離着陸や滑走路を走る時の騒音や振動を計測分析し、それが近隣の建物へどのような影響を与えているのかを評価できるようにしないといけません。それが将来の航空機開発や建物の構造設計を行う上で有益な情報となりますから、長い目でみて騒音公害を減らしていくでしょう。
このような高成長市場における競争の激化にともなって製造メーカーはより活発に研究開発活動を推し進めるでしょうが、それはIC装置の発展も刺激するに違いありません。ラボでの実験や試作品の数が増えてくれば、研究開発用機器の中にもIC装置を導入することが必要となってくるはずだからです。
ビジネスチャンスの豊富なインド市場
インド市場は成長を続けており、輸出部門も着実な伸びを見せています。インドで新たに急成長した分野としてエネルギー産業が挙げられますが、そこでも音響振動の計測が必要なことを考えると、私たちがインド市場に参入する新たな道が開けたといえます。またインドで盛んな製鉄産業においても当社は多大なビジネスチャンスを得ています。
| 「研究開発の推進が計装制御設備の発展を刺激します」 |
音響や振動の計測分析は製鉄業において非常に重要となってきているために、計測機器に大きな需要があるからです。それだけではありません。教育機関でも計測機器は必要とされていて、学生たちの技術的知識や技能を磨くことに役立っています。ハイテクアプリケーションの隆盛によって知識集約型産業も成長していますが、これも研究開発活動における音響振動計測器のニーズを高めます。そしてなにより、先述のように自動車や航空宇宙産業が国内外の市場において急速な成長をとげています。これら全ての動向を考えると、音響振動計測器のニーズは今後ますます高まっていくだろうと思われるのです。
スペクトリスでは、お客様の生産性を高めるための計測器や計装器を開発し販売しています。2009年度の売上高は7億8700万UKポンド、従業員は全世界で5700人を数えます。完全なエンドツーエンド・ソリューションを提供する企業として、私たちはシステマチックかつ系統だったアプローチによる高付加価値のインテグレーションを目指しています。インド市場におけるチャンスを最大限に生かすため、私たちは現地企業へ積極的に投資していきますし、ソリューションの方向性がぴったり合う企業は必要に応じて買収も行っていくでしょう。
インドにおける音響振動の測定分析への取り組み
私たちは、製品に組み込むソフトウェアの開発をインドで行っています。多くの業務は現地のサービスプロバイダに委託していますが、エネルギー産業などの重要な分野に関しては開発の進み具合をしっかりとフォローするようにしています。製薬やライフサイエンス産業が多額の投資をインドで行っているようですが、今後の成長の前触れですからこれらの業界も重視していくつもりです。私たちの提供する製品レンジは、製薬業界における薬剤や微粒子の測定・分析や検査にもよく適しています。
インドでは、騒音の悪影響への関心が高まりをみせていて製造メーカーもそれを考慮するようになってきています。しかし産業界にとってまだまだ道のりは長いでしょう。
出発点として、自動車業界が製品の騒音・振動レベルを厳密にモニターしなければなりません。これをきちんと行えば、社会における騒音のコントロールや減少に大きな役割を果たし環境保護への重要な手助けとなるからです。
次世代の自動車製造に携わる企業は最新の音響振動測定器を、結局のところ導入せざるをえないでしょう。インドだけでなく世界中の企業が、自動車の騒音を減少させるために騒音源探査システムに投資しています。例えばマルチ・スズキのように、インドを輸出拠点として現地のパートナーと密接な協力体制を築いている多数の会社が、高度な音響振動測定分析システムを導入しているのです。
空港の騒音制御も環境改善へ重要な役割を担います。一般的に空港には騒音を最小限に抑える義務が課されていますから、それには音を分析するための適切な装置が必要です。インドにおいてもそれは同様で、騒音が問題視されるにつれてそれをモニターすることの重要性が増してきています。現在、ムンバイ空港において騒音をコントロールするために空港騒音制御システムの試験運用が行われています。
技術の進歩
技術についていえば、ハードウェア(製品本体)はここ何年間にもわたって進歩してきています。デバイスはより精密に、そしてより使いやすくなり、またそのサイズはどんどん小型化してきました。例えば10セントコインほどの大きさしかないサーフェスマイクロホンが、航空宇宙や自動車産業においてエアバス社からインドの現地企業まで様々な会社で利用されるようになっているのです。騒音などをモニターするのに、計測器の使い勝手の良し悪しは今日重要性を増しています。
今の世の中、お客様は納期を厳密に守るプレッシャーにさらされていますから、素早く計測できる機器が必要です。必ずしも十分でないトレーニングや経験のもと計測器を使いこなさなければならないユーザーにとって簡単な操作性は必須ですし、また適切なサポートやアフターサービスも大切でしょう。そして何より計測器そのものの信頼性や正確性、そして校正のしやすさが求められていますが、技術の進歩によりお客様のこのような期待に答えることができるようになってきています。
将来の展望
計測分析のためのハードウェア・ソフトウェアの両方において、とても速いスピードで技術は発達しています。目覚しい技術の進歩を示す例として、センサの小型化や情報伝達技術の革新などが挙げられるでしょう。最先端のデバイスはバッテリーの持続時間も改善し、電力効率がより良くなっています。計測技術もまた改良され、計測分析のスタンダードは次のレベルに引き上げられようとしています。
さらに、音響振動の計測分析において産業界はITの力をフル活用するようになりました。また私たちはあらゆる場面で手持ちデバイスの使用を目の当たりにしますが、それは今後ますます加速していくでしょう。
透明性・可視性・アクセス性の増した今日の世界においては、莫大な量のデータや情報を使って綿密な分析作業を行うことができるようになりました。情報に基づいたより良い意思決定を行うためには、このようなデータを適切に編集し読み取っていかなければなりません。その過程において計測・分析・検査のための測定器は非常に大きな役割を担います。これからの企業をサポートする強力なツールとなっていくことでしょう。
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