ブリュエル・ケアーの加速度ピックアップ - 素晴らしい65年

by Torben Licht and Bin Liu
01 Sep 2010

1943年、他の事業に4年先んじて、ブリュエル・ケアーはロッシェル塩結晶から作られた初の圧電型加速度ピックアップを設計しました。2/3世紀経ったいまでも、ブリュエル・ケアーはその加速度ピックアップの伝統を誇りにしています。


Technology

30年代

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Per V. Bruel と Viggo Kjaerは1939年に電気工学の修士課程を修了する以前から、彼らはお互いに起業することを決めていました。

しかし、彼らはそれを進める前に、実用的な経験を積むことが必要であると感じ、P.V. BruelはP.O. Pedersenが新たに設立した音響研究室の助教授となり、その間、V. Kjaerはデンマークのラジオ産業で開発エンジニアとして働いていました。

1942年にブリュエル・ケアーという会社が設立されました。最初の機器はオーディオ周波数レンジの分析器と発振器でしたが、1943年には振動トランスデューサの開発が始まり、初の製品が販売されたのです。

40年代

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初期の曲げ構造

Per V. Bruelは戦争のためヨーロッパではできなかった音響分野での開発を米国音響学会誌 (J.A.S.A.)に従事していました。

その論文の一つにBenjamin Baumzweigerによる圧電素子結晶を利用した振動ピックアップがあり、Bruelは音響と同じように振動の測定と分析の可能性を見出しました。

図1は最初の加速度ピックアップのスケッチです。これは1943年に販売された4301型ですが、すぐに4302型と4303型(図2)へとつながります。これらの加速度ピックアップは溶解した化学物質から生成できるロッシェル塩結晶を元に、その結晶を正しい形に切り取り、最終的に想定される曲げとなるように接着剤により接合されました。

50年代

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1955年にリリースされた加速度ピックアップ 4306型と4307型
セラミクスと筐体の重要性

ロッシェル塩の曲げ型加速度ピックアップの欠点は結晶が下記の場合に破壊されることです。
  • 短時間であっても50~55℃を超えた場合
  • 短時間でも相対湿度85%以上となった場合
  • 長期間相対湿度30%以下となった場合
  • 引っ張りや圧縮が15MN/sq. mを超えた場合
まず、1番の問題は暑い車の中に放置した場合などに深刻でした。そして2番目3番目の問題は封入を改良することにより克服されましたが、強度は改善されませんでした。つまり加速度ピックアップを落とすと簡単に壊れてしまうことを意味していました。

50年代初頭新たに分極化された強誘電体セラミック材料、チタン酸バリウム(BaTiO3)が報告されており、加速度ピックアップに使えるものでした。すぐにP.V. Bruel とC. G. WahrmanはBaTiO3をベースにした新たな加速度ピックアップを設計し、この新しい世代の加速度ピックアップ 4606型と4307型は1955年にリリースされました。

断面図からわかるように、ハウジングが保護のため、そして良好な信号/マス比を実現するスプリングとして精巧な作りに思考されていましたが、それは同時に外力が直接マスにかかり、全ての種類の誤信号の原因となりました(しかし多くのユーザーの誰もこのことに不満を持ちませんでした!) これがリリースされたとき、次の新型の開発プロジェクトが始まっており、4308型がその年の後半に販売されました。このとき、ハウジングは堅くなり、ハウジングとマスの間の内部スプリングが筐体とプリロードからマスを切り離すために使用されました。

間もなく、他の新たな材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZTと呼ばれます)が利用可能になり、1957年に4308/09/10/11型がリリースされました。

60年代

センターボルトとユニゲイン(Unigain®)
60年代になるとデンマークの産業は発達し、4332/33/34/35型が1964年にリリースされました。それらの基本設計は同じでしたが多くの改良がされていました。

初期のタイプでは共振周波数は低く、曲げ構造がスムーズに動くように単純に固定しただけでした。しかし、すぐに共振周波数は20 kHzまで上げることが求められ、セラミックディスクと金属部品の間の接触面の平坦度がますます重要になりました。表面間の空間層が利用され、共振ピークのダンピングをもたらし、プリアンプでのオーバーロードの可能性を低くしました。

動作温度と安定性の要求が増加したので、これは良い解決策ではありませんでした。 そこで、セラミックディスクの品質は電極の表面研磨と真空蒸着で向上しました。これにより高品質の表面が得られました。

ステンレスとチタニウムのハウジングが使用されていましたが、表面の機械加工は改良されました。新たに銅と接着されたタングステンから成る新しい焼結材料をマスとして使用することにより、以前の真鍮製のものよりも1/2以上容積を減らすことができました。


トランスデューサと共に提供されるデータは劇的に増えました。周波数特性カーブだけでなく、電圧と電荷感度、電荷容量、キャパシタンス、そして250℃までの温度依存性が測定され、個々の加速度ピックアップごとに記録されました。

1966年に、製品ラインはその後長年にわたりラインナップされる4340型 3軸加速度ピックアップと4336型小型タイプにより補完されました。後者は構造原理上の制限がすぐに明らかになりました。

筐体が小さくなり、強度が足りなくなると、ケーブルや取り付け、音などの外部からの影響が出力信号に現れました。これによりこれまでの圧縮構造について再考され、この年代の終わりに、新たな小型加速度ピックアップ4344型と2つの大型タイプ4339型、4343型が発表されました。これらは新たな独自の特徴があり、後にUni-Gain®となる代表値から±2%の感度に調整されていました。同意に新たな酸化アルミとガラス封着による密封されたコネクタが採用されました。

感度の調整は感度がトレランスに入るまで感度測定、マスの質量を減らすための機械加工、エージングそして再校正という手間のかかる手順を必要としました。内蔵アンプの調整を別にすれば、標準品としてこのような製品を用意しているメーカーは他にありません。

70年代

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DeltaShear®方式
DeltaShear®の10年間

70年代の始めは、piezo-ceramics(PZ23と呼ばれ、結果として今でも良く使用されています) の安定性と再現性を改良するのに多くの努力をそそぎました。 同時に、以前のタイプは、センターボルトにより取り付けられ、その結果、低い共振周波数の引き換えに非常に低いベースひずみ感度が得られました。

ANSI S2.11-69規格の出現により、トランスデューサに関するすべてのパラメタを測定することが必要になり、そして、圧縮型トランスデューサにはシェア型に比べていくつかの欠点があることが、その過程で明確になりました。主要な懸念はベースひずみ感度と温度トランジェント感度で、加振が低周波でコントロールされている場合に問題となっていました。

これらのパラメタは小型のトランスデューサで特に重要で、8307型0.5グラム トランスデューサが発表された際に最初のシェア構造が導入されました。これは円筒状のセラミック部品(競合によりひらめかされました)を使用し、重さを減少させるために新材料ベリリウムがベースに使用されました。

8307型で使われた接着や取り付け方法はより大型の加速度ピックアップでは実用的ではなく、多くの異なる構造が提案され、試され、そして最終的に角柱を中心の柱として平面状の板をリングで挟み込むと言うアイデアが採用されました。この構造は特別に良い表面と厳密にコントロールされた寸法と高強度の材料のリングと正しいテンションでリングを取り付ける必要がありました。

1974年にこの構造は後に知られるDeltaShear®として特許を獲得し、できるだけ多くのタイプをこのコンセプトに基づく加速度ピックアップへ移行する作業が始まりました。この構造はそれ以来使用されており、何十万台を生産しました。今では標準的な構造として、競合メーカーでもこの構造の加速度ピックアップを製造しています。

80年代

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2644型プリアンプ
内部電子部品
70年代の終わりから電子部品の開発は標準的な大きさの加速度ピックアップの内部にも置ける非常に小さく、安定したフィルム型プリアンプを作ることが可能になってきました。

これらの変更は最高温度の低下、ダイナミックレンジの減少、信頼性の低下という欠点がありましたが、市場ではチャンネル単価が低いことと、ケーブルとノイズの問題が低減されることを気に入っていました。

ラインドライブシステムが決定的になるまでは多くのシステム構成が検討されました。トランスデューサに定電圧供給し、電流が入力信号に比例しました。これは基本的には今でも多く使用されているほとんどの温度や圧力送信器と同じ原理です。電圧比例型と比較した場合のこれらのシステムの大きな優位点は外部からの影響を非常に受けにくいということです。

2644型外付けの小型(5g)の取り付け可能なプリアンプは最初にリリースされ、同じ技術は多くの加速度ピックアップの内部に使われました。

多くの大型プロジェクトでは入力のチャンネル数への開発コストは多くなく、よりシンプルでより低コストの電圧比例型のシステムが事実上の業界標準となり、いくつかの異なる名称で呼ばれています。

しかしこの年代の終わりから90年代にかけて、ラインドライブシステムはいくつかの成功を収めました。これは非常に低い騒音レベルと高性能を必要とする重要な監視システムにありました。

90年代

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The ThetaShear® Principle
ΔからΘまで
90年代頃の長い不況と東欧市場のロスはブリュエル・ケアーの状況を変えました。市場では価格がより重要な項目になったので、多くの小さな会社が注目されるようになりました。

これは特に自動車業界でおけるモード解析で事実となり、これに挑戦することになりました。
トランスデューサの構造と新しい可能性について重要なレビューが実施され、ギリシャ文字Θに似ていたので、ThetaShear®と呼ばれる新しい概念が生まれました。 これは基本的にDeltaShear®と逆の構造でした。マスは中央にありますが、部品の数をかなり削減しました。 これで、生産コスト、およびDeltaShear®の固有の良いパラメータをあまり犠牲にせずに、モード試験市場によく適合しました。 それを軽く、かつリーズナブルな価格で提供するために、アルミニウムの筐体が利用されました。 今ではチタンが筐体の材料としては適しているので4507型と4508型がThetaShear®加速度ピックアップとしてラインナップされています。

小さなトランスデューサで高い感度、低レベル測定が必要であると言う要求により、ローノイズビルトインアンプが導入されています。この要求を満たすために、ASICS(Application Specific Integrated Circuits)の開発が必要となり、特別に設計された入力用トランジスタが通常のMOSFETよりもより良い性能を提供しています。

最新の追加された構造のコンセプトはOrthoShear® です。これはThetaShear® を進化させ、一つのマスと一つの円筒状圧電素子を使い、3つの直行する方向を測定することができます。この原理を使用したのが4506型と4524型です。

2000年代

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有限要素モデル
マイクロチップ革命
21世紀の最初の10年間は、マイクロエレクトロニクスが本当に世界を震撼させ始めたものでした。 加速度ピックアップについて3つのインパクトがありました:
  • マイクロプロセッサはそのただならぬ数値演算処理能力で有限要素モデル(FEM)を解決するのに使用されました
  • マイクロチップはASCISだけでなく、加速度ピックアップの筐体内に組み込まれました
  • MEMS(Micro electro-mechanical system)はチップ上にトランスデューサを構築しました
PCで提供されるコンピュータの能力はかつてのメインフレームの領域におよび、今ではブリュエル・ケアーのエンジニアは自身の研究室でFEMを使い解析をしています。これはトランスデューサの設計データや試作品のトランスデューサの計測データによりFEMの結果は検証されているので、数値モデルの品質は、常に向上しており、プロトタイプの必要性を削減しています。

90年代に導入されたIEEE1451規格での重要な特色はTransducer Electronic Dataシート(TEDS)の定義でした。 この10年の間にTEDSはトランスデューサの識別、校正値、補正値、測定レンジ、製造者情報などをデジタルデータでトランスデューサ内部に格納するメモリ素子として実現しました。 TEDSチップとの通信は信号ケーブルを通して行われ、最終的なテストの間と、ブリュエル・ケアーの初期校正により、特定のデータが工場出荷前にそれぞれの加速度ピックアップに実装されたTEDSに書き込まれます。

今後

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180ºC IEPE 加速度ピックアップ
新しい技術的な可能性と革新的な新しい構造を提供することにより、ブリュエル・ケアーは加速度ピックアップの歴史において重要な役割を果たしてきました。しかし私たちは、現在、その役割を終えることを考えてはいません。 私たちのトランスデューサ研究開発チームはトランスデューサの最新の技術状況や方向性とトランスデューサの進化や革新に必要と思われるアイデアや手法を常に探し続けています。 例えば、マイクロエレクトロニクスや電池技術、無線通信での最近の大規模な進歩は、トランスデューサとデータ収集システムの未来をよく示しています。

トランスデューサは私たちブリュエル・ケアーのコアビジネスの一部です。 それらは67年間以上常に—私たちの生涯と常に共にあります! 私たちのトランスデューサの品質は世界的に有名です。 それは、細心の試験と品質管理に裏付けられた独自の経験と知識の結果です。 この記事では、私たちの観点から加速度ピックアップに関する歴史を紹介しました。これによりデンマークの私たちの工場から出荷されるあらゆる試験済みのトランスデューサが歴史の一部であることを感じていただければと思います。

Acknowledgement

この記事は1996年にTorben Lichtによって書かれた論文に基づいています。 その内容と詳細について、特に最初の10年間に関する内容はP.V. Bruel博士のお力添えによって準備されました。 その上でTorben Lichtは、50年代については情報と詳細な打ち合わせをC.G. Wahrmann氏と、50年代と60年代についてはG. Rasmussen氏にコメントをいただいたことに対して感謝いたします。


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