ソニックブーム ― 環境に優しい?
By Noel Brown, Program Manager, Denmark
13 Jan 2010
航空機メーカーは、陸地上空での超音速飛行に再び注目しています。しかし、超音速航空機を環境に優しくすることはできるのでしょうか?
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Aerospace | Technology
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JAXAとブリュエル・ケアーがソニックブーム測定で協力
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| 図をクリックして拡大 | | 空気が高湿度、またはほぼ飽和状態になっている局部的な領域を F/A 18 ホーネットが通過する際の、衝撃波後方の膨張ゾーン内の凝縮 |
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ブリュエル・ケアーは宇宙航空研究開発機構(JAXA: Japan Aerospace Exploration Agency)のソニックブームを測定する研究プロジェクトにおいて協力し、JAXAのABBAソニックブーム計測システムとブリュエル・ケアーのPULSE LAN-XI ベースのデータ収集・分析システムを隣り合わせに並べて、建築物へのソニックブームの影響を調査しました。
1970年代にコンコルドが初めて大空へ飛び立った時、陸地上空での超音速飛行は禁止されました。ソニックブームからの衝撃波は窓を破損する恐れがあり、一般市民にとってかなりの騒音公害となりえるためです。現在、航空機メーカーは再び陸地上空での超音速飛行に注目しています。しかし、超音速機を環境に優しくすることはできるのでしょうか?
航空機が超音速で陸地の上空を飛行する場合に、市民の日常生活に大きな影響を与えるようなことがあってはなりません。そこで、影響を定量化するために、次のような問いを投げかける必要があります。
- どの程度のレベルのソニックブームなら許容できるのか?
- 音の心理的な印象と物理指標の間にはどのような関係があるのか?
- ソニックブームは室内にどのような影響を及ぼすのか?
これらの問いかけへの答えを探す研究の一環として、JAXAとブリュエル・ケアーはソニックブームの測定システムについて共同研究を行うことに同意しました。JAXAは、ソニックブームそのものについて、またソニックブームが環境に及ぼす影響について明らかにするために精力的にこの現象を調査しています。ソニックブームの研究や調査におけるJAXAの知識と経験が、ブリュエル・ケアーの音響・振動測定の装置や原理のノウハウと組み合わさることにより、ソニックブームを解明する探求のための完璧なパートナーシップが誕生します。ソニックブームの室内への影響に着目した試験が、最近スウェーデンで行われました。ソニックブームから直接届く可聴音は、建築構造によるフィルタ効果によって低減されますが、建築物の壁や窓は振動し、がたつき音などの副次的な騒音を発します。ソニックブームは、他のタイプの騒音よりも大きな影響を及ぼすのでしょうか?
スウェーデンでのABBA
| 「ブリュエル・ケアーの音響振動測定における専門的知識は、この分野におけるJAXAの実際的な経験を補っています。」 |
JAXAはソニックブームによる影響を大幅に低減する技術を研究しています。その一段階として、JAXAはスウェーデン北部にある試験場で、独自のソニックブーム試験システムの検証を行いました。ブリュエル・ケアーのシステムとJAXA独自のソニックブーム計測システム― Airborne Blimp Boom Acquisition (ABBA)システムとを比較するために、JAXAはブリュエル・ケアーを招き、PULSE LAN-XI ベースのシステムを隣に並べて測定を行いました。
ABBAシステムはJAXA の静粛超音速機技術の検証を目的とした実験機落下試験で用いられる予定です。
測定のシナリオ
試験は、建築物の内外におけるソニックブームに加え、建築物の壁や窓の振動を測定できるようにセットアップされました。
ブリュエル・ケアー 機材一覧:
- 3050型 LAN-XI システム
- 4193型 1/2インチ音圧音場型マイクロホン × 4
- 4948型 サーフェスマイクロホン × 2
- 4508型 ICP型加速度計 × 4
- IRIG-B ジェネレータ
JAXAは膨張式の飛行船を用いて測定用マイクロホンとデータレコーダーを吊り、地上から標高1000mの高度でのソニックブームを測定しました。
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| 飛行船前のチーム ― JAXAの進藤重美氏、牧野好和氏、中右介氏、岡井敬一氏、名古屋大学の清水克也氏, ブリュエル・ケアーの Remi Gustavinio と Flemming Schultz Larsen、そして NEAT プロジェクトマネージャのAnders Jonson氏 | 図をクリックして拡大 |
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測定セットアップ
航空機を飛ばすには高額の費用がかかり、燃料の補給も必要です。そのため、このような現場測定で測定チャンスを逃さないために、タイミングがきわめて重要です。短い測定のためにも多くの準備をしなければならないため、セットアップをすばやく簡単に行えることが重要です。試験のタイミングには天候が特に重大な影響を及ぼし、システムを準備するのに使える時間は、通常は数時間程度です。
使いやすく、すばやくセットアップできる LAN-XI システムは今回のチャレンジにまさに好適です。
- TEDS - Transducer Electronic Data Sheet
- 入力モジュールはTEDSトランスデューサに対応しています。これにより、トランスデューサに保存された感度やシリアル番号、製造者や校正日時などの情報をもとに、フロントエンドや分析器の自動セットアップが可能になります。
- Dyn-X
- Dyn-X を用いれば、160dBを超える単一の分析レンジを持つ入力モジュールを実現できます。これにより、分析システムの入力の範囲をトランスデューサの出力に合わせるための入力アッテネータが不要になります。
- POE - Power Over Ethernet
- POE を用いれば、各モジュールごとに電源ケーブルを用意することなく、LANケーブルによってモジュールに電源を供給できます。これにより、必要となるケーブルの数を最少化できるため、結果的にコストが下がり、休止時間が短くなり、メンテナンスが容易になり、また設置方法が大幅にフレキシブルになります。
- PTP - Precision Time Protocol
- PTPを用いれば、マイクロ秒未満の精度でシステムコンポーネント内のクロックを同期できます。これにより、フレーム内あるいは分散システム内において、LAN-XIモジュールをスタンドアロンで使用することが可能になります。LANの接続さえすれば、長距離隔たった場所においても高精度の測定が可能となり、測定対象物の近くにモジュールを設置することもできます。
- CIC - Charge Injection Calibration
- CICを用いれば、マイクロホンの校正やシステム検査が容易になります。
- 信号の試聴 - 信号を試聴することによって、進行中の測定についても確認が可能です。
ソニックブーム測定への挑戦
音速より速く移動する航空機は雷のような音、ソニックブームを発生します。航空機が空中を通過すると、機体の前方および後方に一連の圧力波が発生し、音のスピードで伝搬していきます。航空機自体が音速を超えると、それらの波は互いに離れることができず、統合されて一箇所に集まります。結果的にこれらは1つの衝撃波にまとまり、ブームを発生します。
機体前部において急激に上昇した圧力は、機体後部で負の圧力となるまで徐々に減少し、通り過ぎた後は突然通常の圧力に戻ります。この音圧波形は、その形状から、N波として知られています。「ブーム」は圧力が急激に変化する際に感じるものであるため、N波は2つのブームを引き起こします。1つは機首の衝撃による最初の圧力上昇であり、もう1つは尾部が通過し圧力が突然通常に戻る際のものです。これらが、超音速航空機からの明瞭な「二重ブーム」となります。
ソニックブームの測定・分析は容易ではなく、測定機器に対する要求も高くなります。ソニックブームの特徴は、音量が大きく、かつ低周波であり、かつインパルス性の騒音であることです。衝撃波による圧力の上昇は、数ミリ秒程度の非常に短い時間内に起こり、音圧ピーク値は、50~100 Pa程度となります。ソニックブームは低周波の波であり、周波数スペクトルの主要な部分が超低周波音や低周波音の範囲(1 - 30 Hz)に含まれています。
この曲線はJAXAによる測定とブリュエル・ケアーによる測定を比較しています。両者は良く一致しています。
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| JAXAおよびブリュエル・ケアーのシステムで測定したN波。N波は2つのブームを引き起こします。一つは機首の衝撃による最初の圧力上昇であり、もう一つは尾部が通過し圧力が突然通常に戻る際のものです。 | 図をクリックして拡大 |
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