By Lars T. Kroman, Karl Kristian Lundsgaard & Erik Ziegler, Brüel & Kjær, Denmark
06 Jun 2008
従来からある固定電話は電話線から電源が供給されています。この技術はローカル・エリア・ネットワーク(LAN)にも実装されており、例えば、IP電話、有線テレビ(CCTV)、ウェブカメラなどの電源供給に使用されています。Power overEthernet は、イーサネット ネットワーク内の標準的なLANケーブル上でデータの通信とともに電源を供給する技術です。この技術は2003年にIEEE 802.3afで規格化され、その後IEEE 802.3-2005で更新されています。
PoEの基本
PoEのシステムは大きく3つの機器で構成されます:
- 特殊な電源
- 標準的なLANケーブル
- 電源が必要なデバイス
Power Sourcing Equipment(PSE)と呼ばれる特殊な電源には、LANスイッチ/ハブとインライン・パワー・インジェクタの2種類があります。
LANケーブルには、2芯または4芯のより線、シールドの有無、要求される通信速度により、いずれかのケーブルを使用することができます。すべてのPSE機器は電源の供給にあたって、これらケーブルの違いを考慮します。しかしながら、長距離の電源供給および高速のデータ通信には高品質のLANケーブルを必要とし、問題の発生をさけるためにCAT 5e またはCAT 6 のケーブルを使用します。
電源は36 Vから57 V、通常は48 Vをケーブルに供給します。供給電力は15.4 W(最大 400 mA)です。
ケーブルが最長の100mの場合、ケーブルによる損失を考慮するとデバイスで有効な電力は12.95 Wです。
スイッチングハブまたはパワー・インジェクタの電源が入ると、電源を必要とするデバイスの有無を検索します(図1参照)。もし同一のLAN上にPoEスイッチングハブとパワー・インジェクタの両方が存在する場合、どちらか一方のみ電源を供給します。電源を必要とするデバイスには、電力線間に特定の“シグネチャ抵抗”(19 – 26.5 kΩ)と“シグネチャ容量”(150 nF)が内蔵されているため、電源装置はこれを識別し電力を供給します。
電源の過負荷および接続されていない線への電源供給を避けるため、電源間の抵抗が15 kΩ 以下または 33 kΩ 以上の場合、もしくは容量が10 μF以上の場合に電源の供給を停止します。
電源クラス
PoE規格は電源のクラスを規定しています。:
0 : 0.44 W to 12.95 W
1 : 0.44 W to 3.84 W
2 : 3.84 W to 6.49 W
3 : 6.49 W to 12.95 W
4 : 将来的に使用予定
電源クラス0がデフォルトで、1 – 3 はオプションです。クラス4は現在使われていません。デバイスは電源にクラスを通知して必要とする電力を要求します。(図1参照)
電源クラスの通知は、前述の電源供給に関する方法と同じ方法で行われます。
デバイスが、電源が供給できる以上の電力を要求した場合は、このラインの電源供給を停止して、デバイスの再検索を行います。
インテリジェントな電力管理
以上がPower over Ethernetの概要で、ローカルエリアネットワーク上に電源を供給するインテリジェントな方法です。1本のケーブルでデバイスに電源供給ができる利点は、IEEE 802.3afに準拠する製品に内蔵されたインテリジェントな電源の保安機能によって補われます。.
利用可能な PoE電源デバイス
IEEE 802.3afに準拠するPoE電源デバイスはネットワーク製品の一般的なサプライヤから購入可能です。タイプは1ポートのインジェクタ、8ポートのデスクトップスイッチ/ハブから12-48ポートのラックマウントタイプがあり、LAN-XIユニットのスタンドアロン使用から製造ラインのテストセル全体をカバーする分散システムまで状況に合わせて選択ができます。
マスタークロックは図の例では1秒ごとに、絶えず同期メッセージをスレーブに送信します(図2)。送信される同期メッセージにはマスターからの送信時のタイムスタンプが打たれます。スレーブクロックがその同期メッセージを受信すると、同様にタイムスタンプが打たれます。スレーブクロックは最初の同期メッセージを使って、そのローカル時間を調整し、マスターとスレーブ間の時刻差を解消します。
この時点でマスターとスレーブには、マスターからスレーブへの同期メッセージの送信に要する時間だけオフセットが存在します。スレーブは最初の同期メッセージ受信後にそのローカル時間を調整した後、タイムスタンプが打たれた遅延要求メッセージをマスターにランダムに送信します。これに対してマスターは遅延応答メッセージを返送しますが、これには遅延要求メッセージのタイムスタンプが含まれています。これら4つのタイムスタンプを基に、スレーブはマスターとのメッセージの送受信にかかる時間を計算します。ここではネットワーク上の通信に掛かる時間が両方向で同じであることを仮定しています。以上の単純な説明には発振器の誤差を考慮に入れていません。この問題はサーボ機構により処理されます。
すべてのクロックでドリフトが発生するため、定期的に短すぎない周期でクロックの調整が行われます。これによりクロックは同期を保った状態となり、同時に“クロック調整のためのトラフィック”を最小限にすることができます。
通信プロトコルにおいてソフトウェアによる遅延の変化を避けるため、タイムスタンプはPTPデバイスのハードウェアにより打たれます。この点がNTP(NetworkingTime Protocol)との大きな違いで、サブミリ秒での同期を可能とします。
PTPの簡単な使用
PTPはネットワークのトポロジーに無関係で、ネットワーク上の最も精度の良いクロックを選択し、実際に発生する遅延を調整するという観点から“自己調整型”といえます。
標準的なLANスイッチはPrecision Time Protocolをサポートする特別な機能がありませんが、特別なPTPスイッチはネットワーク・バックボーン製品のメーカから購入することができます。
同期はすべてネットワーク上のPTPデバイスで行われるため、PTPに準拠するフロントエンドシステムは標準のネットワーク上で動作します。多チャンネルシステムで信頼性の高い測定結果を得るには、サンプルと位相の同期が大変重要です。標準のLANスイッチをPTP同期で使用した場合、位相差の代表値は25.6 kHzで1°未満です。これはほとんどの音響振動計測に十分すぎる値です(図3)。
特殊なPTPスイッチは、ネットワーク上でPTPトラフィックを優先させ、最小の遅延でスイッチから送信することができます。今後PTP技術は、より良いサンプルの同期や低い位相誤差といった測定アプリケーションにおける将来の要求に対応していくでしょう。
PoEとPTPをサポートするLAN-XIフロントエンドにより、標準的なLANを使用した分散配置システムの構築が可能です。これには以下のような優位性があります:
- トランスデューサのケーブルを短くできるため、ノイズおよびコストの低減
- シンプルなケーブル配線によりセット・アップのコストと誤配線を劇的に低減
- 延長用パッチパネルの代わりにLANスイッチを使用
- 余分な電源が不要