2007年6月
騒音と振動の計測では、RMS、パワー、エネルギーという用語をよく使っていますが、物理パラメータの次元を意味するRMSとパワーの関係と、音響パワーを意味するパワーを混乱することがあるので、簡単に解説します。
RMS(Root Mean Square)は英語表現の逆順にパラメータを自乗してその平方根を求めることです。RMS値は、交流信号の時間波形の実質的なエネルギーの消費量(パワー)を表すことから「実効値」と呼ばれることもあります。この考え方は、音と振動の影響を評価する表示方法として、振動計や分析器に広く使われています。
このように物理量の次元において、自乗されたものをパワーと呼びます。このパワーと、平方根処理されたRMS値と区別しなければなりません。また、RMS値とパワーを適切な基準値(それぞれに20μPa、400pPa^2)を使ってdBで表現すると、同じ数字のdB値が得られます(これも混乱の元かもしれません)。
一方、音源の放射音響パワー(単位時間あたりの音響エネルギー)を議論する意味においては、音圧の自乗値(パワー次元)の時間平均と空間平均を行います。
この計算の特徴は、音波が通過する測定面において複数の測定点(または小面積)に対する空間平均の考え方が含まれていることです。
その結果、音源から測定点までの距離を補正することができるため、音響パワー(または音響パワーレベル)は1つの数字だけで音源の影響の大きさを表現することができます。
というわけで、音圧のRMS(実効)値を音圧の自乗値を次元として「パワー」と呼ぶことがあり、さらに発展して、音源を囲う測定空間における空間平均を行うことで、単位時間あたりの音響エネルギーという意味の(音響)パワーを表すことができます。ちょっと、初心者には理解し難いものになっています。