2011年11月
豆知識として、IEPE型加速度ピックアップ(加速度計)を取り上げます。
これは難解な表現ですが、実は業界における正式な共通名称です。ここでは、その難解な部分を解説します。
圧電素子は、加わる力に比例した電荷を発生させます。測定可能な振動数は、1 Hz以下から10 kHz以上にも及ぶので、圧電型加速度ピックアップは一般的な振動測定に広く利用されています。しかし、その出力信号は、pC(ピコクーロン)という単位で表現する、電荷(チャージ)信号という特殊な信号です。しかも高インピーダンスであるために、特殊なローノイズケーブルや電荷増幅器(チャージアンプ)を利用しなければなりません。
この欠点を補うために1980年代から広く利用されている方法が、現在IEPE型と呼ばれる加速度ピックアップです。
IEPEはIntegrated Electronics Piezo Electricの略称で、トランスデューサにそのデータシートを書き込む方法、TEDS(Transducer Electric Data Sheet)を規格化したIEEE 1451.4と同じシリーズの規格で、統一された呼び方とされています。このIEPE型ピックアップは、IEEE規格が制定される前に、各メーカーが独自の呼称や登録商標をつかって販売していました。
DeltaTron(ブリュエル・ケアー)、ICP(PCB)、IsoTron(Endevco)、Piezotron(Kistler)等はすべて、IEPEを指す呼称です。
さて、IEPE型は圧電型加速度ピックアップに信号変換回路(チャージアンプ)を内蔵していますが、その回路への電源を同軸ケーブルの信号線を共用して供給するという素晴らしいアイデアを使っています。それにより、低インピーダンスの電圧信号を出力できるため、比較的に低価格の同軸ケーブルを利用できることになります。この電源供給の方法から、CCLD(Constant Current Line Drive)と呼ばれることもあります。
このように、IEPE型加速度ピックアップは、低インピーダンスの出力電圧信号となるため、特殊で高価な信号ケーブル(ローノイズケーブル)が不要となり、出力信号の取扱いが容易という特長を持ちます。しかしながら、電子回路を内蔵しているため、電荷(チャージ)型と比較して、使用温度範囲が狭い(一般に100℃、特殊品で180℃まで)、ノイズレベルが高くなる、増幅器と電源電圧の制限から圧電型の160 dBに比べて有効ダイナミックレンジが狭い(80 dB程度)という欠点もあります。また、メーカーにより、供給電源の仕様が異なる場合がありますので互換性には注意が必要です。
このように、加速度ピックアップは、その原理と構造により、それぞれに特徴があります。測定に利用される際には、測定条件、環境等を考慮頂いた上で選択することが重要です。