2007年12月
フーリエ変換は(時間)信号に含まれる周期成分をその対応する周波数成分を取り出すために、繰り返し現象に由来する周期情報を周波数情報に置き換える方法です。この数学の考えを広く利用されている工学的な計算方法(アルゴリズム)が、FFT(高速フーリエ変換; Fast Fourier Transform)として知られています。ここでは、FFTの基本原理であるフーリエ変換の中身を紹介します。
騒音振動計測では、これを騒音や振動の時間波形に適用して、狭帯域周波数分析を実施しています。そのメリットは、時間波形では複雑に見える波形情報が、波形に含まれる個々の周波数成分を分離された状態で、周波数スペクトルとして、騒音や振動の情報を見ることができることです。騒音や振動において、どの周波数(または回転数)が繰り返し現象に対応する周波数を知ることは、その対策を考えるために、大変に役立ちます。
一般に示されるフーリエ変換の数式は現実離れしたものですが、その内容は、対象信号に個別の正弦波信号と掛け算した後で、全体を平均(加算)することで、対象信号から特定周波数の(周波数の関数として)振幅を取り出すという計算処理を行っています。
この時、個別の正弦波信号と一致する成分がその振幅を表す直流成分となり、他の異なる周波数成分は交流成分のままであることが重要なポイントです。平均処理はローパスフィルタとして作用しますから、平均処理すれば交流成分は消えてしまいます。よって注目する周波数成分だけが抽出できるわけです。
このような積和計算(掛け算と足し算)の操作を、すべての想定される周波数について機械的に繰り返すことで、1組の情報(スペクトル)が得られます。また、この変換は、周波数から時間への変換として、逆方向にも成立するため、これを逆フーリエ変換と呼びます。
これらの内容は、数式を使うと、1組の式で簡潔に表現できるものですが、式から理解することは困難です。しかし、使うという立場(例えばFFT分析器を使う立場)からフーリエ変換の意味とその計算手順を、興味を持って、理解することができると思います。
