キャリブレーション

2008年11月、12月

 今回は、騒音計や振動計から多チャンネルの音響振動測定システムに共通する校正に注目します。一般には、校正とかキャリブレーションと呼ばれていますが、 簡単に分類すると3段階に分類できます。

1)点検・検査(Conformance Test, Verification)

 これは、最も日常的に現場で実施される、センサーから測定結果を表示するまでを総合的にチェックする方法です。センサーに(校正済みの)既知信号を与えて、一定の結果(仕様などの許容値)を満たす結果が得られていることを確認します。校正対象(マイクロホンや加速度計)に付けられている校正表の値と校正装置(音響校正器、振動校正器)が提供する値との間に矛盾がないことを確認します。感度に変化がないことは大切ですが、むしろ、初歩的なスィッチ、感度設定、ケーブル接続などのミスがないことを確認するという意味があります。特に、しばらく使っていなかった測定器や未熟練者が測定を実施する場合には重要です。

2)校正(Calibration)

 これは、試験対象に対して、より真の値を持つものと比較することで、新たに校正値を与える行為です。このレベルの校正では、校正の信頼性(不確かさ)と校正周期(校正時期の間隔)が重要です。過去に与えられている校正値と変化していなければ合格として、安心して使うことができますが、仕様や許容値を超えている場合には、過去の測定結果を疑わなければなりません。このような場合には、適切な校正周期とバックアップ用機器を検討することになります。

3)ISO/IEC 17025認証校正(Accredited Calibration)

 これは、国際試験所認定協力機構で相互認証の関係にある機関で実施された校正です。基準器に対する比較校正(二次校正)を実施し、その機関から校正証明書が発行されます。このレベルの校正では、より精度を供給できるかどうかが検定機関の権威に関わるため、結果として高い精度を供給する校正機関で校正を受ける(トレーサブル)ことが好まれます。

 さて、精度の表現として±1.5 dB、±0.08 dB、±0.05 dB(±15%、±0.7%、±0.34%)のような不確かさにて表現されます。この不確かさが表していることは、許容値でも、標準偏差でもありません。近年の統一的な理解(デフォルト)としては、計測の信頼性の評価は、「不確かさ(Uncertainty)」で表現し、通常 95 %の信頼水準 (包含係数 k=2) の値を用いることになっています。実際には、このルールに従わないこともありますので、明記されている方が確実です。

 一般には、センサーが最も不確かさ大きいため、重要と考えられます。しかし、センサー、アンプ、分析器などの「測定の連鎖」の全体を考える場合には、それぞれに個別の不確かさが存在するため、個々の不確かさの自乗和の平方根によって、「合成不確かさ」を計算します。

 結論的には、偏りが存在しても、ばらつきの少ないセンサーや機器であれば、適切に校正することで高い信頼性を得ることができます。身近なところでは、騒音計の国際規格やJIS規格においても、表現方法が変更されています。旧規格に比べて、精度を表す見かけの数字が悪く見えることもあります。

 よって、ばらつきの表現方法には注意しなければなりません。そのためにも、校正(キャリブレーション)は、基準器から系統的に追従できる(トレーサブル)状態が管理されている、一貫した状態が望ましいわけです。また、例え古いものであっても信頼できるものであれば、再校正して継続的にご利用いただくことが可能です。

 校正と健康診断は似ているかもしれません。初期の不具合を発見できれば低コストで解決できます。また、計測以外にも、無節操な頑固さは問題となるため、価値観やポリシーが明確であることは大切ですね。

各種校正器

  
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