2007年9月
「オクターブとCPB」を見て、横軸対数周波数と縦軸dBによる周波数分析を想像される方があれば、最近の音響・振動分野の専門家として合格です。それほどに、この両者の組み合わせは騒音振動分析だけに用いられる特殊な用語です。
オクターブ(octave)は音程を表す音楽用語ですが、1オクターブ(完全8度)は2倍の周波数関係を意味します。騒音・振動の分野では、これに由来して、分析帯域幅の中心周波数が2倍の関係となる分析方法はオクターブ分析と呼ばれています。さらに、オクターブ(2倍の関係)を比率について分割して、1/3-、1/12、1/24などの1/Nオクターブ分析として、聴覚や振動の感覚と良く対応する周波数分析として、広く利用されています。
一方、CPBはあまり見かけない言葉ですが、Constant Percentage Bandwidthの略で一定比率帯域幅を意味しています。つまり、CPB分析は一定比率帯域幅の周波数分析のことです。その実例は1/Nオクターブ分析です。1/1オクターブ分析の帯域幅は中心周波数の70%、1/3オクターブでは23%、1/12オクターブでは6%、1/24オクターブでは3%となります。これらの結果は対数周波数軸で示されることになります。簡単に言えば、「オクターブとCPB」は同じ分析方法ことを意味することになります。
話がそれだけであればCPB分析が登場しなくても良かったことになります。実は、アナログフィルタからディジタルフィルタへと技術革新する過程で、それらを包括的に扱えるように、フィルタの国際規格の内容が変わってきました。この規格では、帯域幅の中心周波数である公称周波数は、1kHzを基準とした2倍の周波数の関係で定義されているので、利用者側にとって全く問題ありません。しかし、この規格の変遷において、帯域幅の設計方法が「2のべき乗」から「10のべき乗」に移行し、現在では、「2のべき乗」の簡便さを考慮して、両方の方法が認められています。
この「10のべき乗」による方法は、厳密な意味で2倍の関係に基づかないことになります。CPB(一定比率帯域幅)分析という表現が両者に共通する一般的な表現と言えます。このような経緯から、規格に整合する分析方法の呼称は、オクターブ分析から、CPB分析に移行し、さらに、現在ではどちらでも良いことになりました。
ユーザーの立場からは、両者の結果を混在させても、規格の要求する精度が得られるように配慮されていますので、全く心配ありません。ただ、「オクターブとCPB」分析は言葉として異なる方法のように見えますが、意図していることが同じなので、慌てないことだけが大切です。

